概要
皆さまこんにちは、解説担当のアリアルです。
今回もクラシックカー解説をやっていきたいと思います。
やっほー!皆さまこんにちは!アシスタント担当の
ミリアルです!よろしくお願いいたします!
今回紹介するクラシックカーは「アルピーヌ A110」です。
ライトがたくさんついてる!
かつてフランスに存在した自動車メーカー「アルピーヌ」が製造したスポーツカーで1962年にデビューしました。
後にチューニングメーカーである「ゴルディーニ」がエンジンを手掛け、ラリーマシンとしての性能を発揮しました。
幾多のレースで好成績を収め、1973年には初代WRCで初代ワールドタイトルを獲得し世界の頂点に上り詰めた自動車になります。
ラリーって舗装されていないような過酷な道を走るレースでしょ?
険しい山道をもの凄いスピードで走っているのを動画で見たことあるよ!
そうよ、ラリーカーはサーキット専用に設計・製造されるフォーミュラーカーとは違って
市販の公道車をベースにして、認められる範囲内で競技用の改造を施した車両のことよ。
こういう感じでコースごとの区間タイムを競うレースだよね
ラリーレースは世界一過酷なモータースポーツと呼ばれていて
未舗装路や雪道等の悪路を平均時速100キロくらいで走り続けるのよ。
そんな過酷なレースで優勝した歴史ある自動車なのね!
そうよ。それでは「アルピーヌ」の歴史を「A110」に沿って解説していきます。
前回紹介したバンデン・プラも
良かったら見てください!
アルピーヌA110の歴史
創設者であるジャン・レデレは1940年代頃、彼が25歳の時、父が経営していたルノー販売店が戦争の影響で廃業したため、独立を果たし父と同じ自動車の販売を始めました。
第二次世界大戦中に起きたナチス・ドイツのフランス侵攻の頃だね。
フランスが負けてドイツに接収されてたんだよね
戦後不況においてクルマ不足に悩むフランスでは、そう簡単に供給が需要に追いつくものではありませんでいたが、自動車の修理をするビジネスも始め、取り扱いをしていた「ルノー・4CV」のノウハウを熟知していきました。
そして1952年彼は自分のルノー4CVをチューンナップしたスポーツカーを製作しました。
「ルノー・4CV」は1946年から1961年まで生産されたフランスの小型乗用車で
当時最も売れた大衆車になります。
元々4CVは、戦後の疲弊した経済状況の中で庶民の足として登場した安価な小型大衆車でしたが、モノコック構造の軽量なボディを備え、サスペンションは前後ともコイルスプリング支持の独立懸架でした。
また車体後部に水冷直列4気筒OHVエンジンを縦置きし、後輪を駆動する方式を用いていました。
そしてステアリングギアボックスは操縦性の良いラック・アンド・ピニオン式であったために決して妥協された安易な作りではありませんでした。
スポーツカーに改造するにはもってこいの車でもあったんだね。
レデレは自らチューンした4CVを自身がドライバーとして公道レースであるミッレミリアで52年から54年の3年間を750㏄クラスの優勝に導き、偉業を達成しルノーの競技部門の注目を集めました。
ミッレミリアは1927年から1957年の間にイタリアで行われた公道レースの事です
主にアルファロメオやフェラーリが活躍していました。
1955年にはイタリアのデザイナー、ジョヴァンニ・ミケロッティがスタイリングを担当し、カロッツェリア・アレマーノが制作したアルミボディの4CVのスペシャルモデル、後の「A106」となるプロトタイプ「ル・マーキス」を製造、レデレのチームはこれでミッレミリアに出場しクラス1位、2位とワンツーフィニュッシュをしました。
何度も優勝するなんてレデレはすごいエンジニアでもありドライバーだったんだね。
レデレは同年に4CVスペシャルの製品化に向けて「ソシエテ・デ・オートモビル・アルピーヌ」社を設立し、ルノーの支援を受けるようになりました。
ここでアルピーヌ社が登場するんだね
ちなみに社名はアルプスの山道に因んで命名したそうです。
同年にアルピーヌ初の量産モデルである「A106ミッレ・ミリア」を発表しました。
量産化にあたってボディはFRP素材を採用し、軽量化に貢献することができました。
またルノーから強力なバックアップを受け、販売面でも成功しました。
フロントからリアに流れる綺麗なデザインはさすがミケロッティって感じだね。
デザインは変わったけど中身は4CVのままなの?
エンジンと足回りは強化されたけど、基本的な部品は4CVからの流用なのよ。
特にエンジンについては3つほどのバリエーションを出して展開していたようね
1957年頃にはA106オープンタイプのカブリオレを、その後、1960年頃にはルノー4CVの後継機であるドーフィンをベースにした新モデルの「A108」を発表しました。
「A110」のデザインにかなり似てきたね。
ちなみにルノー・ドーフィンは1956年から1967年までに約200万台製造されました。
「A108」となったこのモデルの注目すべき変更点として、ベースとなったドーフィンはモノコック構造を採用しておりラリーカーとしては相性が悪かった為、ねじれに強く、ボディ形状に左右されずにサスペンションやドライブトレーンを自由に設計できる利点がある新開発したバックボーンフレームのシャシーに変更しました。
「A108」は1962年頃には早くも「A110」へとモデルチェンジしました。
これは1962年にベースとなっていたドーフィンがR8へとモデルチェンジした為で
その基本パーツを更新する形で進化しました。
1965年にはチューニングの魔術師と呼ばれたアメデ・ゴルディーニがチューンした「R8ゴルディーニ」用の1108ccエンジンを搭載し飛躍的な性能アップを得ました。
本来はイタリア全土を走る長距離の公道レースであったミッレミリアに勝つために制作されてきたGTカーでしたが、軽量な車体、剛性の高いシャーシによる耐久性、RRレイアウト、これらの要素が不整地を走るラリーレースにも最適だと判断され、アルピーヌとゴルディーニの協力関係が生まれました。
数々の性能向上を果たし、1968年にはモンテカルロやモロッコラリー、ツール・ド・コルスなどの「WRC(世界ラリー選手権)」の前身にあたる「ERC(欧州ラリー選手権)に参戦し、当時の世界最強ラリーカーであったポルシェ 911やBMCミニなどに匹敵する性能を発揮しました。
69年のモンテカルロラリーではポルシェがワンツーで勝利
アルピーヌは惜しくも3位だったんだね。
多くの好成績を収めたA110の最大の武器は、RR駆動による絶大なトラクションとライバル達に比べ圧倒的に軽量な車重でした。これによりラリー界を席巻し、アルピーヌA110は1973年に初代WRCのチャンピオンに輝きました。
1971年に後継モデル「A310」がデビューしていましたが、ラリー競技での活躍もあってA110は根強い人気を保ち、1977年まで生産が継続されました。
生産終了から40年目の2017年には、同じ名を受け継いだ新型車 A110が発表され、今もなおその栄光は語り継がれています。
アルピーヌを代表する傑作「A110」
「A110」は1962年から1977年の間に合計で約7500台を製造し、世界の認可工場からの推定生産量を含めると、総数は約10,000台生産されました。
1972年 ALPINE A110 1600S
全長:3850mm
全幅:1520mm
全高:1130mm
ホイールベース:2100mm
トレッド前/後:1311/1290mm
車両重量:680kg
乗員定員:2名
エンジン種類:水冷直列4気筒OHV
総排気量:1565cc
ボア×ストローク:77.0×84.0mm
圧縮比:10.25:1
最高出力:138ps/6000rpm
最大トルク:14.7kg-m/5000rpm
ステアリング:ラック&ピニオン
サスペンション:前ダブルウィッシュボーンコイル
:後スウィングアクスルセミトレーリングアームコイル
ブレーキ:前後ともディスク
タイヤ:前後とも165HR13
ボディは当時としても珍しいFRP(グラスファイバー製)となっており、デザインはジョバンニ・ミケロッティによるものでした。
ボディ全体はA108より僅かに大きくなりましたが、フロントからリアにかける曲線を生かした優美なボディラインとなりましたが、全体的にA108ベルリネッタとほぼ共通のスタイリングとなっています。
傾斜した大きなリアウィンドウは、空気がスムーズに後方へ流れるようなデザインとなり、A108との大きな違いはリアエンドのデザインが大きく変更された点となります。以前のモデルとは違い、リアのクォーターパネルに取り付けられたエアインテークからエンジンに風を入れる構造になりその為、A108の特徴的なリアエンドの大きなグリルがなくなりました。またリアのホイールアーチを一直線に伸ばし、リアオーバーハングを視覚的に短くしています。
1963-1965年頃の初期モデルはA110の特徴的なフロントノーズにあたる部分のドライビングライトはありませんでした。1967年以降のモデルには特徴的なライトが追加され、一般的に認知度の高いスタイリングとなりました。
またバンパーとオーバーライダーの間に付けられた2つの大きな補助灯はオプションでした。
内装は低い位置に取り付けられた2つのバケットシートと、水温計を備えたタコメーター、スピードメーター、電圧計、油圧計、および油温計を備えたダッシュパネルを設置しました。派手な装飾などなくエアコンやオーディオ機器等ないスパルタンな仕上がりになっています。
最初に搭載されたエンジンはルノー製956㏄水冷直列4気筒OHVで、トランスミッションは5速MTが組み合わせられました。最高出力は僅か55馬力程度でしたが車両重量が550キロ程度とかなり軽量でした。
ゴルディーニの協力の元、年を追うごとにエンジンに改良を加えられそして1968年、歴代A110の中でも最もポピュラーな存在となる1.6Lエンジン搭載モデル「1600S」が登場しました。最高出力129ps、最大トルク14.9kgmのスペックで、車両重量は760kgまで増加したもの、動力性能は最高速度204km/h、0-400m加速15sに向上しました。
また1974年にはリアサスペンションをルノー8用スイングアクスルからA310と共通のダブルウィッシュボーンに置き換られ、ホイールの取り付けボルト数は3穴から4穴となりました。
最後に
さて今回のクラシックカー解説はいかがだったでしょうか?
クラシックカーの魅力は、美しいデザインや再生産できないプレミアムな価値が上げられますが
私はその車の歴史が何よりの魅力だと思っています。
今回解説したクラシックカーはYouTubeでも解説していますので
良かったらそちらもどうぞ!
コメント